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【コメント集】 私とtrippen

河村耕平さん

河村耕平さん

──trippenってどんな靴?

靴は洋服に比べて、明らかにバリエーションが生まれづらい世界だと思われます。洋服以上に骨格の関わる機能性、強度が求められること。スニーカーとレザーシューズの製法の違い。誰しもシューズボックスにはお気に入りのレザーシューズとスニーカーがスタンバイしているのではないでしょうか?
trippenはその文脈から少し離れた独自の哲学をもって存在している気がする。オーソぺディックシューズ的なアプローチを根幹にもちながら、アッパーとソールのそれぞれのデザインの組み合わせから、オーセンティックからモードへ渡る自由なシューズデザインが生まれ続けている。

履き心地の良さからコンフォートシューズのようなとらわれ方もあるけれど、じつはかなり先鋭的かつ質実剛健で正直なところ比較するモノがないのでは?とすら思う。
自由な発想や好みで純粋に靴選びをする。知識は置いておいて純粋にデザインを楽しむことができる靴、そして一度はいたら足が覚えているその履き心地。
アバンギャルドからクラシックのスタイリングにここまで違和感なく溶け込むことができるってなかなかナイんじゃないかな。

──trippenとのおもいで

trippenを意識した1996頃
初めてこの靴は?と手に取ったのは実は偽物…本来ソールに入るtrippenのラバー型が、全く違うレーベル名。プライスも妙に安く、以来つい今でもソールを見てしまう癖がついた。話は飛んで、KLASICAがパリで開いている展示会の最中にたまたまマレ地区のストアに寄ったのが最近の出来事。熊本の取引先がtrippen熊本を開けることや(現在は閉店)、たまたまその時にパリで初めて買ったcupソールのモデル、いろいろつながりが生まれて、ベルリンーパリー東京ー熊本をつなぐ一本のラインができた瞬間に、デザインから担当してうまれた2モデルに関わらせてもらえたのが、言葉では言い表せないうれしい経験でした。お気に入りの一足は(手前味噌ってやつですが)そのモデルです。

一つ伝えたかったこと。
ベルリンのtrippen 本社では、修理で外されたソールが全て保管されていてそれはもう相当な量だそう。何にするかというアイデアの一つに、地雷や不発弾の残る土地に安全な道を一本でも作れたらという話を聞いた時、心の底から痺れたこともここでお伝えします。これもデザインの一つ。いつかこの素晴らしいデザインが実現するといいですよね。

──これからどんなtrippenを履きたいですか?

私が次なるtrippen を選ぶときはどんなタイミングだろう…。なんとなく夏モデルを見てしまうので、あえて冬っぽいモデルかもしれないですね。デザインを練っていた時に拝見したアーカイブの復刻依頼なんかも面白いかも。

KLASICA 河村 でした。