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25周年を迎えて

株式会社金万
代表取締役 金子誠光

25周年を迎えて

株式会社金万
1983年東京都渋谷区に設立。1997年にドイツtrippen社との輸入取引を開始し、同年trippen日本直営1号店(trippen原宿)をオープン。
株式会社金万 / www.kaneman.co.jp

「良い映画を見たいのだったら入場料が必要でしょう?」

trippenとの出会い

1996年頃、パリのマレ地区にあるアナトミカというお店に行ったときに、ディレクターのピエール・フルニエさんに「この靴履いてみないか?」と提案されたのがtrippenでした。
本当は別の靴を買おうと思っていたのですが、ピエールさんに「この靴が良いよ!」と勧められたその靴を買いました。それが今でも定番で作り続けている『Yen』です。
それから半年間その靴を履き続けました。
そうしたらすごく履き心地が良かったんです。
それで、すぐにtrippenのデザイナーだったMichaelとAngelaを紹介してもらってBerlinに会いに行きました。
代理店契約を結ぶ際、Michaelに「この靴は将来世界中で売れる靴になります。」
「良い映画を見たいのだったら入場料が必要でしょう?」といった言葉をもらったのをよく覚えています。
そして入場料を払って無事契約を結ぶことができて、日本でオープンしたのが1号店の原宿店です。1997年でした。

当時はtrippenも設立から間がなくて、工場がイタリアにありました。その工場までMichaelとAngelaが直接トラックを運転して、ベルリンから1,000kmくらい、12時間かけてアルプス山脈の横を抜けて行き来をしていました。
そこで出来上がった靴を受け取ったり、職人さんに技術的な指導をしたりと、新しい靴ができるたびに、そういったやり取りを重ねていました。

そんな状況の時に日本も取引をスタートしました。彼らが苦労をしていた若い時代から、色々なことを乗り越えながら一緒にやってきた、という長い経緯があります。
そうしてお互いを応援しながら、努力を重ねて、パートナーとしての無二の関係性を築いてきたのだと思います。

25周年を迎えて
2018年来日中のMichaelと青山C.O.Dにて

「間違いない!」と思えた靴

思い出の一足・お気に入りの一足

思い出の靴、というとやはり『Yen』です。出会いの一足で、それから毎日履き続けて「間違いない!」と思えた靴です。
その後もずっと自分のクラシックとして履いています。

Yen
還暦祝いに贈られた赤い『Yen』


『Zori』にも思い入れがあります。日本から発信したデザインなのですが、今では日本でも定番化していてうれしいです。これは自分用に鼻緒を送り込んで作ってもらったspecialな一足です。

『Zori』に足袋を合わせて


『Hop』は一番新しいお気に入りです。昔良く履いていた60年代のアメリカの靴を彷彿とさせるデザインが懐かしさもあって好きなのですが、実はtrippenの若い世代がデザインしているというところに一層愛着を感じています。

スポーティな印象の『Hop』

ワクワク感がずっとある

これからのtrippen

これはtrippenのお客さんと同じだと思いますが、trippenのもつデザイン性に対するワクワク感がずっとあります。
毎シーズン新しいデザインを作るというのは、ビジネス的に見ると無駄なことなんです。
同じものを大量に作る方が、コストもエネルギーも少なくて済みます。
ですが、それをやり続けていくところ、そして柔軟性を持ち、オープンな心をもって新しいことに挑戦し続けるところがMichaelの素晴らしいところであり、それはtrippenの若い世代にもDNAとして引き継がれていると感じます。
Michaelは工場で働く人たちをとても大切にしていて、彼らに技術だけではなく、新しいものを作るチャンスを与えています。
そういった意味で、trippenの次の世代がtrippenのもの作りへの考え方やこだわりを引き継ぎながら、新しいtrippenを作り出していくことに期待しています。
また、それができるブランドだと信じています。

trippenを日本のお客様に長い間ご愛顧いただいていること、靴を大事に扱っていただいていること、そして今も買っていただいていることに、心から感謝しています。
そういったお客様の期待に応えるために、ドイツとコミュニケーションを密に取りながら良いもの作りを行っていきたいと思います。
これからもどうぞ期待してください!

trippen原宿